音をよくする~ケーブルの話 (1)

 前回ご紹介したのは、パソコンにUSB接続するだけで動作する、アクティブタイプの外付けスピーカー「TWA-S7」でした。単に便利でデザインがいい、というだけではなく、身近なスペースから“いい音”の環境を作っていこうという提案型の製品でもありましたした。そして、その安価さには驚かされましたが、販売数量は一般的なオーディオ製品とは1桁か2桁違うと聞きました。今はあまり本格的な高級機が売れないので、メーカーもこの分野に注力せざるを得ない、という事情もあるのでしょうね。

 リーマンショック以降のこの直近1年半ほどでも、
「高級品が売れない中で、オーディオは中高年に高級機が売れている」
 などという“ヨイショ”記事が、時々一般新聞にも書かれてきましたが、“大型高額高級機の売れ行きはサッパリ”というのが実情でしょう。
 しかし、オーディオで音楽を聴く人が減ったわけではありません。音楽を聴くという行為は、山があれば登りたくなる、海や川があれば泳ぎたくなるのと同じで、人にとって欠くことのできない欲望なのですから。
 景気が低迷しているときは、やはり生活防衛本能が働きますから、オーディオのような趣味の世界の高額製品の売れ行きは鈍ります。しかし、少しでも“いい音”にしたいという気持ちは常に抑えることができません。その欲求不満を解消する意味でも、まずパソコンを“いい音”にしようというのは、いい提案だと思います。
 ハイファイオーディオでも、あまり多額の費用をかけずに音をよくする方法があります。それは、機器そのものではなく、アクセサリーを工夫がすることです。アクセサリーの代表的なものに「ケーブル」があります。
 ケーブルにはその用途によっていくつかの種類がありますが、とりあえず今日は機器間を接続する「信号ケーブル」、アンプとスピーカーを接続する「スピーカーケーブル」のお話です。ええ、この2種類のケーブルを少し高級なものに替えてみると、あっと驚くほど音が変わって感動させられることがあります。

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 上の写真は信号ケーブルです。3点のうち右下は機器に同梱されているものです。販売店にはさまざまなタイプのケーブルがあります。下の写真は、端末にプラグがついたスピーカーケーブルの高級品です。信号ケーブルは、RCAピンプラグが両端についたピンケーブルが機器に同梱されていますので、とりあえず予備をもっていない人はこれを使います。スピーカーケーブルは、一般的にはスピーカーにはついてきません。これはどうしても自分で調達しなくてはなりません。
 私の例でいいますと、最初にオーディオ機器を買ったころ(わずか40年ほど前のことですが、フフフ!)は、貧乏でしたからね、信号ケーブルは同梱ケーブル、スピーカーケーブルは、手近にあったテーブルタップに使うような細い電線を使いました。何しろ自前で買った道具から音が出るだけでも感動したのですから、ケーブルの質にまで考えが及ぶはずもありません。
 ところが、ある時友人が来て、
「あのさ、これひどいケーブルだから、これと取り替えたほうがいいよ」
 と、親切にもピンケーブルとスピーカーケーブルをもってきてくれたのです。電気なんか流れてりゃいいんじゃないの、と思っていた文科系、当時オーディオに興味派の私は、その時を境に、人間が変わってしまったのです(ツレアイには迷惑だったかもしれません!)。
 いわれるままにケーブルを替えてみると、あら、音は同じ機器からとは思えないほど、“いい音”になったのです! 今までの音はいったい何だったのか、と考えさせられるほど、すっきりと爽やかに変貌しました。愛を打ち明け合った二人が、その瞬間からまったく別人になってしまうように、音は別物になってしまったのです。