TW-S7、ちょっと驚きの高音質パソコン外部スピーカー

 3月12日掲載号で話題にしたパソコン用外部スピーカーは、株式会社東和電子のオラソニック・ブランドの第1弾製品で、型番は「TW-S7」。仕上げにブリリアントホワイト(W)と、ノーブルブラック(B)の2種類があります。アンプを内蔵している、アクティブ(パワード)タイプのスピーカーですが、電源はパソコンのUSB端子につなぐだけでよく、外部からのAC給電やバッテリーは不要です。
 ブランド名のオラソニックは“Olasonic”で、スペイン語の“ola = 波”と英語の“sonic = 音の”を組み合わせた造語で、“波の音”を意味しています。これをつなぐとパソコンから美しい音が、さざ波が岸にやさしく打ち寄せるように聴き手に届く、ということでしょうか。ではまず、本体の写真をご覧いただきましょう。卵のような形をした、とても美しい形のスピーカーです。

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 ところで、パソコン用の外部スピーカーとなると、とりあえずは内蔵スピーカーよりマシな音が出ればいい、という程度の考え方が一般的です。本格的なハイファイ性能を求めようとすれば出来ないことはありませんが、再生音にクオリティを求める人は当然専用のオーディオ機器を選ぶことになるでしょうから、そういう需要がはたしてあるのかどうかは疑問です。
 また、スピーカーに“いい音”を求めると、ある程度の大きさが必要になりますが、そもそもパソコン本体の大きさから考えると、大きなものを組み合わせるのは不自然ですから、やはり限界があります。そして、高性能を求めれば当然コストも掛かりますから、パソコンにつなぐものとしては価格の制約にぶつかることになります。
 というわけで、私はパソコンの外部スピーカーには、特に関心がありませんでした。ところがこのオラソニックのモデルには、同世代の元ソニーのメンバーが係わっているらしいのです。CDスタート時から、ソニーの技術者や広報のメンバーには親しくしてきた人も多いので、これはぜひ先入観なく聴いてみなくてはいけない、と思いました。
 こうして出会ったのが「TW-S7」。何はともあれ、試作機をご持参のパソコンにつないで何曲か聴かせてもらい、率直に感じた印象が前回掲載の「おお、これいいじゃない、と心に温かいものが流れ始め」た、という言葉になったのでした。
 オーディオ製品は、大きさや価格、材質や回路技術のいかんに係わらず、いい音でいい音楽を聴きたい、という人が作ったものは、ある独特の、オーラのような雰囲気をもっているものです。「TW-S7」からもそのような空気が漂ってきました。
 まず、この形ですが、単なる思いつきや、外観デザインのためではないのですね。この小さな体積で、窮屈にならないような設計をするには、この卵の形が大変有利なのです。四角い箱と違って、キャビネット自体に平行面がありませんから、内部に定在波を発生しにくいのです。そして、構造的に強いのもメリットです。内部に補強のための部材や、吸音材を特に投入しなくても、周波数特性に乱れを生じにくいのですね。ここで、前面と背面のクローズアップ写真を見ていただきましょう。

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 ご覧のように、前面部のセンターから10個の窓が開けられています。完全に穴を開けてネットをつけるより、内部のユニットの保護の面でも有利ですし、放射状の仕切り線がデザイン的にも美しく、軽快で華やかな感じがします。そして、窓の頂点に飾りボタンのようにつけられているのが、ユニット中心に焦点を当てた砲弾型のデフューザーです。これが振動板からの音波の拡散を適切にコントロールします。卵形キャビネットはユニットとデフューザーの位置関係、取り付けにも有効に働いているのです。ユニットは、振動板が60ミリ口径。素材はポリプロピレン系で、このサイズに対して55ミリという大口径のマグネットでドライブしています。
 そして下の写真でご覧のように、背面には前面ユニットと同じ口径のパッシブラジエーターが取り付けられ、キャビネットには3つの窓が開けられています。パッシブラジエーターはハイファイスピーカーシステムにも使われることがあるもので、磁気回路をもたない、自らは音を発することのない振動板で、素材は発泡ウレタン。このラジエーターの共振を利用することによって、低音域を豊かに聴かせているのです。
 少し面倒くさい話が長くなりましたが、ここまででおわかりのようにこのスピーカーは振動板ユニット1個にパッシブラジエーターが組み合わされたものですから、シングルユニット、すなわちフルレンジというスピーカーの理想を体現したものでもあるのですね。
 さて、この「TW-S7」からほのかに漂ってくるものの正体は何かといいますと、これを作った人の音と音楽への愛情、情熱なのです。パソコンの外部スピーカーで、ある程度売上げが見込まれる、そこそこのレベルで、デザイン的にウケそうなものを作ろうよ、という経営学的利益追求型動機からではなく、何とかパソコンから“いい音”を引き出そう、そのためにはどんな形が、どんな素材が、どんな回路が、という思考回路から生まれているのです。
 試作機を数日借りることにして、前回の写真のように、自分のパソコンに接続して2日間、久しぶりにパソコンをプレーヤーにしてCDやDVDを何枚も聴いてみました。そして、とてもいい気持ちになりました。こうして、仕事の合間に同じデスクに向ったまま、いい音で音楽を聴くことができるのも、パソコン時代ならではの恩恵でしょうね。
 まず、こういう限りなくパーソナルな環境から、“いい音”にして行くことが、本格的システムのオーディオを磨くことにもつながるのではないか、と思いました。
 なお、「TW-S7」はキャビネットが卵形ですから、平坦なデスク面に直接置くことはできません。付属のシリコンインシュレーターに載せてセットします。そうすることによってスピーカーの角度も変えられるので大変便利です。しかし、ちょっと仕切り線を利用して、空間に吊るすのも面白いなあ、などという遊び心も湧いてきます。近日中に確かめてみたいと思います。価格はオープン価格ですが、店頭での売価は10,800円ぐらいと予想されています。驚きますね、この価格!! でも、音は決して“安く”ありません。

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