一体型システムの実力は? (続々々)一体型システム「RZ-1」

 Station50に移籍してから今回が4回目の「新版・もういちどオーディオ」です。もう一度オーディオを始めようか、と思う人に少しでも役立つ情報や話題をお届けしようというのが、このブログのテーマです。回を重ねるごとに、興味シンシンの情報もお伝えしますので、お付き合いください。
 前回までは、エソテリックのCD/SACDプレーヤーとプリメインアンプが、エレガントなボックスに一体化されて収納された「RZ-1」を紹介しながら、というよりも「RZ-1」をダシにして、一体型と分離独立型の違いやら、エレガントな機器ってどんな意味があるのがなど、オーディオをめぐる無駄話をしてきました。
 いえ、無駄話というのは謙遜でして、そこに少しでもお役に立つことがあれば、なんて図々しく思っているのでありますが !!

 2、3回は主役以外の写真が多かったので、今回は最初に「RZ-1」の写真をご覧いただきましょう。天板(トップパネル)を外して内部を見たものです。

画像


 美しい内部レイアウトですね。大まかに分類すると、中央がプレーヤー部、左側が電源部、右側がアンプ部となっています。プレーヤーとプリアンプ、パワーアンプの3機能が一緒になっている割には、整然とした配置で、各セクション間の干渉もしっかり抑えられているようです。単機能高級機で高い実績をもつエソテリックは、その単機能機のボックス内での各セクション間の妨害干渉を排除する技術の蓄積があり、その技術がこういうシステム製品でも十分に発揮されているのです。もう1枚、ディスクを挿入したときの写真もご覧いただきましょう。

画像


 ところで、「RZ-1」のような製品を、オーディオ界では「システム製品」と呼んでいます。それに対して、単機能製品は「単品コンポ」といいます。オーディオが好きで詳しいと自認している人の多くは、単品コンポを組み合わせて自分の好みの音を作り上げることを、本格的なオーディオと信じています。そして、中にはシステム製品はレベルが低いものだと思っている人も少なくありません。私は単品コンポを組み合わせてオーディオシステムを組み上げることの素晴らしさを否定する者ではありませんが、システム製品はレベルが低い、という説には組しません。よく出来たシステム製品には、素晴らしい再現力をもっているものもあるからです。

 前回、オーディオにおける「分離独立主義と統合一体主義」のテーマでお話したのは、アンプを例にして、異なる機能を別ボックスにする方式と1つのボックスにすることの、メリットとデメリットについて、でした。
「RZ-1」はさらにもう1歩進めて、プレーヤーとアンプが1ボックスに入れられています。この一体主義をさらに進めると、チューナーやレコーダーなども1つにした「ミニコン」とか「システムコンポ」となります。写真は代表的なミニコンの1つ、デノンの「D-MX33MD」(オープン価格)です。

画像


 これらのシステム商品は、手軽に扱えることと、低価格化を最大の目的とした、大量生産大量販売の製品ですから、本格的性能の単品コンポを組み合わせたオーディオシステムに音質の点でかなわないのは仕方がありません。
 しかし「RZ-1」はシステム製品の1種ではありますが、ミニコンとは次元の違うハイファイ・オーディオ機器です。1つのボックスの中に、プレーヤーとアンプが同居していますが、それは一体型のメリットを生かすための方策で、技術的には単品コンポを作るのとまったく同じレベルで作られています。
「RZ-1」の良さをどう説明しようかと考えているときに、1月27日に掲載の第1回に「ごくう」さんからの質問コメントが書き込まれました。要約するとデノンの「RCD-CX1」と同じようなものか、Aura noteやARCAMのSOLOなどとの違いはどうか、価格の367,500円は高くはないのか、ということです。
 一体型システムでは、デノンにも優れた製品がありますし、オーラ(Aura)やアーカム(ARCAM)などのヨーロッパ系の製品も根強い人気をもっています。それらはあらためて紹介する機会があると思いますが、ここでは、ちょっとデノンの「RCD-CX1」と比較してみましょう。まず写真をご覧ください。

画像


「RCD-CX1」は“ピュアオーディオのこだわりを1台に凝縮”というキャッチコピーがつけられたデノンの「CXシリーズ」の製品で、2008年7月に発売されました。価格は178,500円ですから「RZ-1」の半分を少し下回ります。しかも、FM/AM対応のチューナーが内臓されています。アナログレコード入力(phono)はMMとMCの両方に対応しています。「RZ-1」はMMだけです。
 このように機能と価格を照らし合わせて考えると、コストパフォーマンスからみれば明らかにデノンのほうが有利です。しかしオーディオ機器は、コストパフォーマンスからだけで判断することはできません。なぜならもっと多くの機能を詰め込んだ安価なシステム製品は他にいくらでもあるのですから。そして、オーディオ機器は一般的な実用品とは違って、使い手の好みと合致するかどうかも大きくその製品の価値に影響します。
 第2回で触れましたように「RZ-1」はシステム製品ですが、単品コンポのプレーヤー「SZ-1」とプリメインアンプ「AZ-1(価格はプレーヤーが税込577,500円、アンプが税込525,000円)という、2つの高級機を合体した製品と考えるべきなのです。性能は先行する単品コンポの性能に匹敵するものとなっています。
 同じように、デノンの「RCD-CX1」も単品コンポのプレーヤー「DCD-CX3」とプリメインアンプ「PMA-CX3」を合体させたものですが、これらの先行コンポの税込価格は各126,000円です。エソテリックの先行単品コンポとは価格帯がかなり違う製品なのですね。
 結論的にいえば、「RZ-1」は機能は少ないが、オーディオ的クオリティはハイエンド機器に近いものだ、むしろ単品コンポとして考えたほうがいいぐらいの製品といっていいでしょう。それはたとえば電源部の能力、そして出力、ピックアップメカニズムの精度、ボックス(キャビネット)の強度などに現れています。そしてそれらの良さが総合されて最終的な再現力の違いとして出てくるのです。
 もちろん、再生音の良い悪い、あるいは好き嫌いは、聴く人の感性や好みによって大いに変わりますから、簡単に判断は出来ないのですが、訓練をした耳をもつ人の多くが“これはいい音だ”と、好き嫌いを超えた次元で感じる音があることも否定できません。そういう意味からは、エソテリックの「RZ-1」は価格にふさわしいレベルの“いい音”をもっているといえましょう。
“いい音”とは何だろう、なんていうことはあまりオーディオ雑誌では書かないことなのですが、このブログでは大いに採り上げていこうと思っています。ところで、ボンビバン時代はこの後に機器の仕様を表にして掲載しましたが、万事節約が肝要と教えられて育った者としては、寸法重量ぐらいにとどめ、他は「エソテリック」のホームページをご覧いただこうと思います。色文字のエソテリックをクリックしていただければ、該当ページが開きます。

●エソテリック インテグレーテッドミュージックシステム「RZ-1」
外形寸法:400(W)×77(H)×368(D)mm/重量:9kg 367,500円(税込)