「ハイエンドエレガンス」とは何か? ~(続)プレーヤー、アンプ一体型システム「RZ-1」

 新版・もう一度オーディオの第2回です。前回に引き続きエソテリックのプレーヤー、アンプ一体型システム「RZ-1」をとりあげますが、今日はこのが「RZ-1」属するシリーズ名“ハイエンドエレガンス”について調べてみましょう。
 シリーズコンセプトは、エソテリックによると、
― オーディオ機器としての存在感にわずらわされることなく、ゆったりと音楽に包まれて快適なひと時を楽しむというオーディオの原点に立ち返り、「美しく暮らす」をコンセプトにデザインされたシリーズです。エソテリックの卓越したテクノロジーをさりげなく隠すスリムで精密感あふれる造形、そしてハイエンドの名に相応しい徹底した高音質設計とシンプルな操作性を追及しています。 ―

 機器の存在感にわずらわされることなくとか、卓越したテクノロジーをさり気なく、というあたりの表現に苦心が感じられますね。こういう言葉が出てくるのは、オーディオが家庭内では重たくて場所ふさぎなものと思われことが一般的だし、いかにも“いい音”がするからありがたく聴けといわんばかりの高圧的雰囲気が嫌われているからでしょうね。
 そういえば、本格的な大型システムを入れることを歓迎する奥方なんてめったにいませんものね。しかし、本当の音楽・オーディオファンは、重さや大きさが“いい音”につながるのなら喜んで我慢できますし、高音質を象徴するような外観デザインや内部の部品レイアウトには、子どものころ初めて分解した時計やラジオの内部を見たときのように興奮させられるものです。
 私もどちらかといえば、すっきりしたフロントパネルよりも、精密な数値が刻まれた大型のメーターがついて、ツマミが大小いくつも並んだメカメカしいデザインが好きです。では、ここで写真を2点ご覧いただきましょう。上はアキュフェーズ(Accuphase)のプリメインアンプ「E-560」のフロントパネルで、下はマークレビンソン(MARK LEVINSON)のパワーアンプ「No532」の内部です。

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 こういう写真を見てウットリする方はオーディオに“誘惑される才能”があります!! しかし、世の中には拒否反応を示す人も少なくないのです。女性だけではありません。音楽好きな人にも、オーディオなんて簡単な装置でいいんだよ、なんていう人が結構多いのです。
 そこで何とか、重厚長大な本格ハイファイオーディオ機器に好意を持たない音楽ファンの心に訴えるようなオーディオ機器として考えられたのが、「ハイエンドエレガンス」シリーズということになります。前回の「RZ-1」の写真、そしてこの後につをもういちどご覧ください。こういう機器なら、気難しい家人も納得してくれそうな気もします! 同時に、すでに本格システムをお持ちの方の、セカンドシステムとしても魅力があるかもしれません。
 そして、シリーズ名が単に「エレガンス」ではなく「ハイエンド」が冠されているところが、エソテリックらしいところです。単にデザインが洒落ていて、エレガントな雰囲気を求めるのなら、もっと違った方法があったかもしれません。しかし、ハイファイオーディオ機器の専門メーカーとしてのエソテリックの自負は、優雅さの装いはオーディオ機器としての高性能が保たれるぎりぎりの線でとどめているところにあります。滑らかな曲線とスイッチボタンの配置という限られた要素で演出をしているのですね。
「ESOTERICハイエンドエレガンス」シリーズの製品には、今回の主役である「RZ-1」に先立って、単体のCDプレーヤーとプリメインアンプが発売されています。最初がCDプレーヤーで2005年9月発売の「SZ-1」。価格は577,500円。つづいてプリメインアンプ「AZ-1」が翌2006年3月に発売され価格は525,000円。なんと、50万円を超える高級機だったのです。この2つのモデルは、昨年2009年10月にモデルチェンジされ、それぞれ型番は末尾に「S」がつき、「SZ-1S」「AZ-1S」となりました。注目は価格です。両者とも367,500円、だいぶ安くなっています。では、最新モデルの「SZ-1S」(上)と「AZ-1S」の写真をご覧いただきましょう。

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 オーディオ製品は普通の場合、モデルチェンジすると部品のグレードアップなどのため、また物価上昇の影響などもあって高くなることが多いのですが、このシリーズの場合は、性能は維持しつつ、抑えるところは抑えてコストダウンを図り、より多くの人が購入しやすい価格にまで下げられているのです。こういうモデルチェンジは大いに歓迎ですね。
 写真からもおわかりのように、「RZ-1」は先行発売された単体のプレーヤーとアンプを合体させた一体型なのです。モデルチェンジされた単体の発売時期と2ヵ月しか遅れていませんので、一体型の開発は単体製品のモデルチェンジと並行して進められたのでしょう。
 そうだすると、オーディオの製品選びでいつも迷う悩ましい問題を考えなくてはなりません。いや、オーディオは楽しい趣味なので、考え込む必要はないのですが、趣味という遊びにおいても思い悩み考えることは、敵を知る道なのであります。ちと大げさでありますが、次回のテーマは、オーディオ機器の単体と一体型、分離独立と婚前、いや混然一体型についてといたしましょう。